icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻10号

1990年09月発行

今月の症例

クローン病患者に生じた匍匐性紅斑

著者: 阿部佳容子1 稲垣安紀1 岡大介1 幸田衞1 植木宏明1 木原彊2

所属機関: 1川崎医科大学皮膚科学教室 2川崎医科大学消化器(Ⅱ)内科学教室

ページ範囲:P.965 - P.968

文献概要

 30歳,男性.クローン病患者に生じた特異な匍匐性紅斑の1例を報告した.昭和53年頃より消化器症状が発現し,クローン病と診断された.臀部に蛇行する線状,一部環状の匍匐性紅斑が認められ,約1ヵ月の経過で消失した.その皮疹は左臀部から右臀部へ遠心性に拡大し,旧皮疹はほとんど変化を残さず消失するため,あたかも匍匐していくかのように見えた.本症例では,同様の皮疹が同一部位にクローン病増悪期に一致して,現在までに3度くり返し生じている.いずれの時期にも皮疹に対する積極的な局所治療が行われていないにもかかわらず,クローン病の軽快に伴い消失した.組織学的には,superficial perivascular dermatitis with interface dermatitisの像のみであった.皮疹の性状より疑われた顎口虫症等の寄生虫疾患を思わせる所見はなく,真菌症,自損症も否定された.以上のことより本皮疹はクローン病に関連したものであると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら