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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻11号

1990年10月発行

原著

皮膚B細胞性リンパ腫—症例報告および本邦症例の検討

著者: 中川八重1 竹松英明1 高井良尋2

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科学教室 2東北大学医学部放射線科学教室

ページ範囲:P.1051 - P.1055

文献概要

 症例は,83歳,男性.初診約半年前に,右側胸部の結節に気づいた.右側胸部の腫瘤は,6×7cm,半球状に隆起しており,右腋窩には,7×7cmの腫瘤を触れた.組織学的には,真皮から皮下組織にかけて,核分裂像の多い,多数の中型のリンパ球の浸潤を認め,LSG分類によるびまん性中細胞型の皮膚B細胞性リンパ腫に相当した.総線量50.4Gyの放射線治療で腫瘤は触知できなくなった.最近8年間の本邦の,LSG分類で報告された成人皮膚B細胞性リンパ腫28例のうち,びまん性大細胞型が全体の約2/3を占めた.初診または治療開始1年後の生存率は,生死不明例を含めても75%であった.すなわち節性リンパ腫や胃,甲状腺,ワルダィエル輪,および眼を原発巣とする節外B細胞性リンパ腫の治療開始1年後の生存率が85%であるのに比べて,皮膚B細胞性リンパ腫の予後は悪い傾向を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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