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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻11号

1990年10月発行

症例報告

水銀肉芽腫の1例

著者: 中野和子1 原洋子1 川津友子1

所属機関: 1関西労災病院皮膚科

ページ範囲:P.1069 - P.1073

文献概要

 28歳,男性.初診,昭和62年1月27日.昭和61年12月,視力低下のため,近医に精査入院中,病室で水銀体温計が破損し,水銀を拾った.昭和62年1月22日,背部圧迫感を主訴に当院内科受診,胸部X線上,両肺野末梢に均一な顆粒状陰影多数存在.1月下旬,左前腕屈側に2個の有痛性紅色硬結が出現し,1個が自壊したため,当科受診.切開により銀色粒子が排出し,水銀と同定.生検にて,真皮から皮下に出血,膠原線維の壊死を認め,好中球,リンパ球を中心とする細胞浸潤,異物巨細胞を認めた.左前腕X線上,硬結部に一致して顆粒状陰影を認め,水銀粒子を周囲組織を含め切除し,植皮した.切除標本では,皮下に水銀粒子や,水銀粒子が脱落したあとの大小の丸い空隙とこれをとり囲む好酸球や異物巨細胞を認めた.血中,尿中水銀値の増加を認め,BAL投与.水銀の自己注入により生じた肉芽腫と推測している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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