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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻11号

1990年10月発行

文献概要

症例報告

硬性下疳と梅毒性乾癬を併発した症例

著者: 石倉多美子1 岡田芳子1 川島篤弘2

所属機関: 1公立松任石川中央病院皮膚科 2金沢大学医学部第1病理学教室

ページ範囲:P.1081 - P.1083

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 硬性下疳と第II期梅毒疹である梅毒性乾癬を併発した57歳,男性例を報告した.陰茎冠状溝を中心に包皮内板と亀頭にかけてびまん性浮腫と硬結があり,表面には痂皮をつけた小びらんないし潰瘍が数個みられた.なお陰茎根部下面に接した陰嚢表面に浸潤のある紅いびらん面がみられた.鼠径部に無痛性横痃があった.両下腿から足背にかけて梅毒性乾癬と思われる皮疹を認めた.梅毒血清反応はガラス板法64倍,TPHA320倍.下疳部の組織像では,表皮欠損,真皮のリンパ球・形質細胞の稠密な浸潤,真皮小血管の拡張・増殖・内皮細胞腫大がみられた.スピロヘータ染色(Warthin-Starr染色)では,表皮下層および表皮真皮境界部の細胞間にTreponemapallidumと思われる螺旋体が多数認められた.治療としてAM-PC1日1.0gを8週間内服させた.皮疹はすべて消失し,梅毒血清反応抗体価は低下した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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