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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻2号

1990年02月発行

文献概要

症例報告

チオプロニン投与中にIgA単独欠損症を併発したGeneralized Morpheaの1例

著者: 佐々木哲雄1 斉藤胤曠2

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科学教室 2神奈川県立こども医療センター皮膚科

ページ範囲:P.129 - P.132

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 11歳女性のgeneralized morphea患者でチオプロニン投与中にIgA単独欠損症を併発した症例を報告した.皮疹は顔面,両上肢,腰背部に多発する硬化萎縮斑で,組織学的にも真皮全層の膠原線維の増生を認めた.初診時には抗核抗体(FANA)弱陽性,抗DNA抗体陽性,血清IgA 80mg/dlであったが,プレドニゾロンにチオプロニン併用開始後,IgA単独欠損とFANA抗体価の上昇を認めた.プレドニゾロンは漸減し15歳時中止,チオプロニンは16歳時中止した.18歳時の検査で血清IgAは50mg/dlと一時的に回復をみたが,19歳の現在再び7〜8mg/dlと低下している.皮疹は前額の一部に軽度の萎縮硬化を残すが,他は色素沈着のみの状態となっている.これまでD-ペニシラミン,金製剤,カプトプリルなどのSH基を有する薬剤によるIgA単独欠損症の誘発が報告されており,自験例もSH化合物であるチオプロニンによって誘発されたものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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