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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻2号

1990年02月発行

症例報告

皮下硬結を示す腋窩副乳の1例

著者: 陳科栄1 小松威彦1 西川武二1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.133 - P.135

文献概要

 思春期になり腋窩の皮下硬結に気づき,粉瘤の疑診にて全摘された乳頭,乳輪を有さない腋窩副乳の1例を報告した.組織学的には,真皮深層から皮下脂肪織に結合組織の増殖を伴った乳腺組織が巣状に散在し,一部に不規則に拡張した細長い管腔を認め,管腔内にはいわゆる断頭分泌様の所見を伴っていた.乳腺嚢胞内容液中の分子量15,000の蛋白(GCDFP−15)に対する抗体を用い,摘出結節を染色したところ,腺腔上皮細胞および腺腔内容物が強陽性に染色された.従って本症例の腋窩副乳組織はアポクリン化生を伴うものと考えられた.本症例のごとく,乳頭,乳輪を有さない腋窩副乳は鑑別診断が困難なことが多く,日常診療において,腋窩の皮下硬結をみた際には本症の可能性も考慮する必要があると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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