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研究ノート・3
58年卒
著者: 宮地良樹1
所属機関: 1京都大学
ページ範囲:P.183 - P.183
文献購入ページに移動 慶應義塾大学の消化器内科にS先生という,図体もでかいが,仕事のスケールも大きい先生がいる.彼は,微小循環を専門とする研究者で,好中球由来活性酸素を顕微鏡レベルで,はじめて動的に視覚化し,この領域の研究者をうならせた.私もはじめてこの映像をみたとき,しばらく言葉が出なかった.
実は彼とは,数年前に,見知らぬうちに研究面で火花を散らしたことがある.潰瘍性大腸炎や壊疽性膿皮症の治療に用いられるサラゾピリンの抗酸化作用の研究に,ほぼ同時期に着手していたのである.結局,1年ほどの間に世界各地から7つの同様の論文がpublishされることになったこの研究を,私は彼より数カ月早く論文にすることが出来た.彼があとから述懐したところによると「自分たちと同様の研究を皮膚科の先生が,消化器の英文誌に出したのを見て,まっ青になった」のだという.私はDDS(ダプソン)の研究から出発してサラゾピリンに到達したのであり,彼は,炎症性腸疾患から出発して同様の発想に行きついたわけで,その偶然の符合は,興味深い.
実は彼とは,数年前に,見知らぬうちに研究面で火花を散らしたことがある.潰瘍性大腸炎や壊疽性膿皮症の治療に用いられるサラゾピリンの抗酸化作用の研究に,ほぼ同時期に着手していたのである.結局,1年ほどの間に世界各地から7つの同様の論文がpublishされることになったこの研究を,私は彼より数カ月早く論文にすることが出来た.彼があとから述懐したところによると「自分たちと同様の研究を皮膚科の先生が,消化器の英文誌に出したのを見て,まっ青になった」のだという.私はDDS(ダプソン)の研究から出発してサラゾピリンに到達したのであり,彼は,炎症性腸疾患から出発して同様の発想に行きついたわけで,その偶然の符合は,興味深い.
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