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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻4号

1990年04月発行

文献概要

原著

偽腺性有棘細胞癌—電顕的,免疫組織化学的検討

著者: 吉田伸江1 風間隆1 伊藤雅章1 坂本ふみ子1 小黒啓子1 手塚匡哉1 田沢敏男1 佐藤良夫1

所属機関: 1新潟大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.275 - P.280

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 77歳,女性.初診の約2カ月前から右足底内側に小結節が生じ,その1カ月後に右鼠径部リンパ節腫脹が出現.組織学的に足底の原発巣,リンパ節転移巣とも角化性腫瘍巣で,多数の1〜数層の細胞壁をもつ腺腔様構造を有し,その中にacantho-lytic cellが存在.偽腺性有棘細胞癌と診断.免疫組織化学的に腫瘍細胞はcarcino-embryonic antigen染色陰性,各種抗ケラチン単クローン抗体染色で通常のsquamouscell carcinomaと同様な所見を呈し,ラミニン等の基底膜成分に対する抗体による染色ではacantholytic cellの周囲をとり囲むような像が得られた.電顕的には腫瘍細胞間のデスモゾームが少数で不均一に分布し,細胞質内のトノフィラメントも未発達であった.ここにリンパ節転移をきたした自験例を報告し,本邦報告例61例について,若干の統計的ならびに文献的考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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