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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻5号

1990年05月発行

症例報告

著明な瘢痕化を来し,有棘細胞癌を併発した汎発性膿疱性乾癬の1例

著者: 石地尚興1 石田卓1 岩田忠俊1 新村眞人1 赤板陽2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科 2北青山クリニック

ページ範囲:P.409 - P.412

文献概要

 31歳,女性.生後2カ月の時熱発とともに全身に膿疱を混じる紅斑性局面,膿性分泌物を付着する糜爛性局面を生じ,以後二十数年にわたり同様の膿疱,糜爛を繰り返した.前頭部,前腕,下腿皮膚は徐々に萎縮,瘢痕化をきたし,30歳の時左下腿の糜爛性局面上に表面が不整形に隆起する紅色腫瘤を生じた.膿疱は無菌性で,組織学的にKogojの海綿状膿疱を認め,汎発性膿疱性乾癬と診断した.左下腿の腫瘤は生検の結果有棘細胞癌であったため,全摘出術および鼠径リンパ節郭清術を施行した.膿疱の新生はエトレチネート1日20mg内服で,ある程度抑制されたが完全な寛解状態は得られなかった.著明な瘢痕化の原因として幼少時より長時間にわたり糜爛を繰り返したこと,幼少時にステロイド剤,メトトレキセート等を多量に使用したこと,本人の先天的素因等が考えられた.有棘細胞癌については,瘢痕上に生じたいわゆる瘢痕癌と考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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