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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1990 I 最近話題の疾患とその病態
アトピー性皮膚炎—Fcε陽性リンパ球の意義
著者: 滝川雅浩1
所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.487 - P.491
文献購入ページに移動 アトピー性皮膚炎(AD),湿疹性皮膚炎(eczematous dermatitis;ED),健常人の末梢血および皮膚病変部におけるリンパ球のFcεRII/CD 23発現を,in vivo,in vitroで検討した.抗FcεR II抗体(H107)および抗CD3,CD4,CD8,CD20抗体を用いた蛍光抗体法では,重症(体表の50%以上に病変)〜中等症(10〜50%)ADでは,末梢血中FcεR II陽性リンパ球は〜6%で,軽症AD(10%以下),ED,健常人の2%前後と比較し有意に増加していた.重症〜中等症ADでのFcεR II陽性リンパ球は90%がB細胞で,残り10%がCD8優位のT細胞(Tε細胞)であった.他のグループではFcεR II陽性リンパ球はB細胞であった.AD皮疹部においてもTε細胞が浸潤しており,急性増悪部ではCD8陽性Tε細胞が常に認められた.AD,ED,健常人末梢血T細胞は,IL−4,PHAによるin vitro3日間刺激によりFcε—R IIを発現するが,重症ADでは培地のみでも発現した.FcεR IIはT細胞活性化抗原の一つとされており,AD患者リンパ球は生体内で種々の抗原刺激を受けていると考えられる.また体内で既に活性化されたリンパ球はin vitroでも容易にFcεR IIを発現するものと考えられる.
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