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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻6号

1990年05月発行

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1990

I 最近話題の疾患とその病態

急速な成長を示す爪の色素線条

著者: 加藤泰三1

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.504 - P.508

文献概要

 成人の爪の色素線条が比較的急速に拡大する場合には,それを爪甲下悪性黒色腫の一つの前駆病変ないしそのin situの状態として考えることにそれほど抵抗はない.しかし,幼小児例のgrowing pigmented nail band(GPNB)については,これらが自然消退してしまうこともあり,また現在までGPNBから発展した小児の爪甲下悪性黒色腫の確実例がないことなどから,成人例と同じレベルで扱うことには若干の問題がある.我々は今回3例の小児GPNB例について組織学的に検討し,GPNBの病態が基底層に沿ったmelanocytic hyperplasiaであることを観察した.症例によって細胞の異型性の程度には軽重の差があるものの,少なくとも色素性母斑ないし単純黒子の組織像とは全く異なるものであり,基本的には成人のsubungual melanoma in situに合致するものと思われた.現時点における小児GPNBの取り扱いについて言及したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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