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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻6号

1990年05月発行

文献概要

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1990 II 新しい検査法と診断法

培養色素細胞を用いた炎症後色素沈着の解析—新しい検査法として吸引水疱を応用した1例

著者: 富田靖1 前田憲寿1 松永純1 田上八朗1

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.547 - P.551

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 日焼けを含めた炎症後の色素沈着の機構を知るために,吸引水疱の水疱蓋より得られた正常ヒト色素細胞を培養し,炎症性化学伝達物質のin-vitroの効果をみた.プロスタグランジン(PG)E2,PGD2,PGF,6-KetoPGF,ロイコトリエン(LT)B4,LTC4,LTD4,LTE4,トロンボキサン(TX)B2,ヒスタミン,PAF,ブラディキニン,セロトニンに程度の差はあれ,色素細胞を刺激する作用を認めた.なかでもLTC,とヒスタミンは,細胞の大きさ,樹枝状突起の数,細胞周長,TMH−1単クロン性抗体の染色性,チロシナーゼ活性のいずれも著しく増加した.この結果,これらの物質の炎症後の皮膚色素増加への関与の可能性が示された.この研究で用いられた吸引水疱は,任意に対象部位を選べることから,また色素細胞に限らず角化細胞も得られることから,今後さまざまの皮膚疾患の病態研究に関する,in-vitroの実験や検査に利用し得ることを考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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