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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻6号

1990年05月発行

文献概要

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1990 II 新しい検査法と診断法

皮膚疾患と細胞成長因子

著者: 橋本公二1 東山真里1 松本邦夫1

所属機関: 1大阪大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.558 - P.562

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 近年,細胞成長因子の研究の進展に伴い,種々の細胞成長因子が皮膚において,生理学的ならびに病理学的に重要な働きを持つことが明らかになってきた.これらの細胞成長因子中,TGF-alphaは当初腫瘍細胞,胎児組織のみに存在すると考えられていたが正常表皮に存在することおよび培養表皮細胞による産生が明らかになった.TGF-alphaは,EGFと類似の構造をもち,EGFreceptorに結合しEGFと同様の細胞増殖促進作用を有する.表皮の異常増殖を特徴とする尋常性乾癬におけるTGF-alphaを検討したところ,病変部で約4倍の増加が認められた.また,免疫組織学的には,正常皮膚,乾癬病変部とも表皮全層にわたってTGF-alphaの存在が認められた.黒色表皮腫,Leser-Trélat徴候の発現にもTGF-alphaが関与していると考えられ,今後,表皮の増殖性変化におけるTGF-alphaの役割の解明が期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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