文献詳細
症例報告
文献概要
肺癌よりの皮膚転移で,その特異な臨床像から鎧状癌と考えられた症例を報告した.64歳,男性,昭和62年10月中旬より右前胸部に発赤を伴う境界不鮮明な板状の硬結が出現し,漸次拡大し表面は凹凸不整であたかも鎧を着たような外観を呈していた.病理組織像にて真皮内に膠原線維の増生,脈管内の腫瘍細胞による塞栓や腫瘍細胞が集塊をなしたり,また膠原線維間に腫瘍細胞が一列索状に並ぶ,いわゆる“like Indians in a file”と呼ばれる所見等を認めた.臨床像,組織像より転移性皮膚癌で鎧状癌と診断された.なお原発病巣は胸部X線像,喀痰検査などより肺癌と考えられ,これは病理解剖により確認された.自験の1例を報告するとともに鎧状癌の本邦報告例を収集し,その16例について,性別,年齢,発生部位,原発巣,臨床所見,組織所見,皮膚転移後の生命予後などを検討した.
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