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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻8号

1990年07月発行

文献概要

症例報告

くすぶり型成人T細胞白血病・リンパ腫—皮膚腫瘍を初発症状とした1例

著者: 兼子泰行1 田中正明1 増子倫樹1 山口茂光1 伊藤雅章1 佐藤良夫1

所属機関: 1新潟大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.833 - P.837

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 75歳,男.急速に増大する右下顎部腫瘍を主訴として来院.他に顔面,四肢などに大小の浸潤性紅斑を認めた.一般検査に異常なく,全身状態良好で,表在リンパ節を触知しなかった.病理組織学的にはLSG分類のびまん性リンパ腫混合細胞型に相当した.腫瘍細胞はCD 4陽性,CD 8陰性を示した,末梢血と皮膚腫瘍組織内にCD 25(IL−2 R)陽性細胞が認められた.ATLA抗体陽性で,Southern blot法でHTLV—Ⅰ proviral DNAのモノクローナルな組み込みが証明され,くすぶり型ATL(成人T細胞白血病・リンパ腫)皮膚腫瘍型と診断した.CHOP療法により皮膚腫瘍および浸潤性紅斑は急速に消失し,末梢血中のCD 25陽性細胞は減少し,約1年6カ月間寛解状態を維持しているが,経過中,重篤な薬剤性間質性肺炎と肺アスペルギルス症を合併した.経験例の報告とともにATLの治療と予後について考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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