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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻1号

1991年01月発行

文献概要

原著

菌状息肉症類似の皮疹を呈した成人T細胞白血病・リンパ腫

著者: 大川幸三1 和田えみ1 北川伸子1 小玉肇1 神崎哲也2 藤下雅敏2 田口博國2 岡剛史3 滝脇弘嗣45

所属機関: 1高知医科大学皮膚科学教室 2高知医科大学第三内科学教室 3高知医科大学第二病理学教室 4高知赤十字病院皮膚科 5現:徳島大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.17 - P.21

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 68歳男性.全身に菌状息肉症類似の浸潤性紅斑が多発した.皮疹部病理組織所見ではPautrier微小膿瘍と真皮に異型リンパ球のびまん性増殖を認めた.浸潤リンパ球の大部分はLeu 3a陽性であった.末梢血液中の異型リンパ球は0-2%で,内部諸臓器への侵襲はみられなかった.Human T cell lymphotropic virus type I(HTLV—I)抗体は16,384倍(PA法)で,サザンプロット法により腰部腫瘤にHTLV-I proviralDNAを検出した.PUVA単独療法に比ベエトレチナート内服併用により皮疹に対する治療効果が増強した.2年目に急性転化したため少量CHOP療法を実施し,寛解状態となった.本症例における菌状息肉症類似の皮疹の発症には,ランゲルハンス細胞によるT細胞への抗原の持続感作およびT細胞へのHTLV-I感染が関与していると考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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