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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻10号

1991年09月発行

今月の症例

新生児エリテマトーデス—母体へのステロイド投与により房室ブロックの消失を見た1例

著者: 石丸咲恵1 伊崎誠一1 北村啓次郎1 森田豊2

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科学教室 2埼玉医科大学総合医療センター産婦人科学教室

ページ範囲:P.751 - P.755

文献概要

 患者は3カ月,女児.生後1カ月より顔面・耳後部に環状の紅斑が出現.組織像にて基底層の液状変性および真皮内の小円形細胞の浸潤を認めた.また,免疫組織像にて基底膜にC3,IgMの線状沈着が認められた.抗SS-A抗体・抗SS-B抗体共に陽性.紅斑は,生後6カ月で自然に消失した.母親にSjögren症候群の既往があり,さらにSweet症候群を合併したため,妊娠中に母体に対しステロイド剤を投与していたところ,胎児期に認められた房室ブロックが出生時には消失していた.我々は,抗SS-A抗体により惹起された房室ブロックが,ステロイド剤により抗SS-A抗体価の低下を見,刺激伝導系に不可逆的変化が現われる前に発症が阻止されたと推論した.自験例は,今後のSjögren症候群の母親の妊娠に際し,胎児の先天性疾患に対する対策の一つとして,貴重な示唆を与えるものであると考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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