icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻11号

1991年10月発行

文献概要

症例報告

アンギオテンシン変換酵素阻害剤により誘発された落葉状天疱瘡の1例

著者: 野本重敏1 勝海薫1 風間隆1 松村剛一1 伊藤雅章1 佐藤良夫1

所属機関: 1新潟大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.869 - P.873

文献購入ページに移動
 69歳,男.高血圧のためカプトプリルの内服を開始し,8カ月後,全身に痂皮と糜爛を伴う紅斑を生じた.病変部の組織で有棘層上部の水疱形成,蛍光抗体直接法で表皮細胞間にIgG,C3の沈着を認めた.血中抗表皮細胞間抗体は陰性.症状,組織学的所見および経過よりカプトプリルにより誘発された落葉状天疱瘡と診断.ステロイドの外用で皮疹が改善した後,SH基を有さないアンギオテンシン変換酵素阻害剤であるデラプリル,エナラプリルの内服試験を行い,いずれも内服開始2日後に皮疹の明らかな増悪を認めた.その後プレドニゾロン40mgの投与で軽快したが,減量後皮疹の新生を認めた.デラプリル,エナラプリルで皮疹が誘発されたことより,その発症にはSH基の関与だけでなく他の要因が関与している可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?