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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻12号

1991年11月発行

文献概要

原著

後天性第ⅤⅢ因子インヒビターの発生をみた水疱性類天疱瘡—同インヒビターの性質について

著者: 塩野正博1 林一弘1 本田千博1 谷昌寛1 橋本誠2 寮隆吉2 山口延男3

所属機関: 1神戸大学医学部皮膚科学教室 2神戸大学医学部輸血部 3神戸大学医学部臨床検査医学教室

ページ範囲:P.925 - P.929

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 水疱性類天疱瘡の治療中に後天性第ⅤⅢ因子インヒビターの発生をみた症例を報告した.症例は65歳,男性.家族歴・既往歴に出血性素因はなく,常用する薬剤および過去の輸血歴もない.臨床像,病理組織像および蛍光抗体法による所見から水疱性類天疱瘡と診断し,プレドニゾロン(PSL)内服療法を行い,皮疹の消退をみた.しかし,PSLの漸減中に皮疹の再燃と同時に出血傾向が出現するようになってきた.凝固系の検査で,全血凝固時間の著明な延長,活性化部分トロンボプラスチン時間の延長,第ⅤⅢ因子凝固活性の低下および第ⅤⅢ因子インヒビターの出現を認め,同インヒビターがIgG分画中に存在することを明らかにした.PSL増量後,皮疹,出血傾向とも消退し,第ⅤⅢ因子インヒビター力価も徐々に低下し検出されなくなった.その後PSL漸減中であるが,現在に至るまで皮疹,出血傾向ともに再燃をみていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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