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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻12号

1991年11月発行

文献概要

今月の症例

Exophiala jeanselmeiによるPhaeomyCotic Cystの1例

著者: 橋本健治1 金森正志1 清水正之1 内田幾代2 田中壮一3

所属機関: 1三重大学医学部皮膚科学教室 2山田赤十字病院皮膚科 3滋賀医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.943 - P.946

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 81歳女性の左前腕に生じた,Exophiala jeanselmeiによるphaeomycoticcystの1例を報告した.皮疹は紫褐色隆起性,75×70mmの,膿瘍を伴う肉芽腫性病変であり,組織内に褐色の菌糸や円形細胞の他,縦横二面の厚い隔壁を形成しているように見えるsclerotic cell様構造も認めた.治療として,排膿に加えて総量200mgのアンホテリシンBの膿瘍内投与を行ったが,病巣は約3分の2までしか縮小しなかった.そこでミコナゾール投与に変更したところ,6回,総量120mgの膿瘍内投与で皮疹は完全に消退した.本分離菌に対する薬剤の最小発育阻止濃度(MIC)は,アンホテリシンBが100μg/ml以上,ミコナゾールは12.5μg/lであり,MICや臨床経過の点からミコナゾールが奏効した可能性が高いと考えられた.また,E.jeanselmeiの組織内寄生形態とsclerotic cellの関係についても若干の考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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