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症例報告
シンナーによる一次刺激性皮膚炎
著者: 伊藤裕子1 川津友子1
所属機関: 1関西労災病院皮膚科
ページ範囲:P.979 - P.982
文献購入ページに移動 いわゆる「シンナー遊び」による中毒患者にみられた皮膚炎2例を経験した.閉めきったワンルームマンションで意識不明で発見され,重症治療室に収容された少年達で,症例1は24時間後,症例2は48時間後に意識回復し,7日後には,GOT,GPT, LDH, CRK値の異常高値は正常に復した.皮疹はシンナーで濡れていた床に接触していた頭部,背部,臀部などにみられ,浮腫状紅斑,緊満性水疱を伴う隆起性紅斑,びらん,痂皮を伴う隆起性局面など強度の一次刺激性皮膚炎の像であった.組織像は,水疱蓋が角層と変性した表皮細胞よりなる水疱形成があり,水疱内には多核白血球,フィブリン,変性表皮細胞がみられ,基底層よりの表皮再生像が認められた.真皮は,浮腫状で,毛包周囲,脂肪織細胞間に多核白血球の浸潤,脂腺の変性,脂肪織の一部融解が主な所見であった.
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