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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻12号

1991年11月発行

文献概要

これすぽんでんす

八田尚人,他「致死型先天性表皮水疱症の1例」の論文を読んで

著者: 清水宏1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1016 - P.1017

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 八田尚人先生他が報告された致死型先天性表皮水疱症の症例報告(臨皮45:703,1991)を興味深く読ませて頂きました.本例では兄も類似の皮膚症状を有し生後84日で死亡している点,また電顕的に明らかなlamina lucidaでの解離が見られることから,診断的にはまず致死型先天性表皮水疱症として問題ないと考えられます.しかしこの論文においてひとつ残念なことは,最近本症の診断において最も重要であり信頼性の高いとされているGB 31,2)というモノクローナル抗体について一言も言及されていなかった点です.
 GB 3抗原は正常ヒト皮膚基底膜部に存在する分子量60万ダルトンの蛋白で,表皮と真皮の結合に重要な役割を果たしていると考えられています.この抗原蛋白が致死型先天性表皮水疱症患者皮膚において特異的に欠如していることが,水疱形成の大きな原因であることも明らかにされてきました3).さらに,GB 3抗原は胎生10週の正常胎児皮膚ではすでに存在しますが,本症に罹患している胎児皮膚では欠如していることも確認されました3).したがって本症の胎児皮膚生検による出生前診断において,私たちは実際にGB 3抗原を電顕観察とともに併用しています4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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