文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1991
I 最近話題の疾患
文献概要
伝染性紅斑は古くから知られた疾患でありながら,その原因ウイルスがhuman parvo—virus B19と判明したのは,ようやく1983年のことである.このウイルスに関する検索が進められた結果、伝染性紅斑以外に感冒様症状,溶血性貧血患者におけるaplastic crisis,関節炎ないし関節痛,紫斑あるいは水疱を主徴とする皮疹,さらには妊婦の感染時の胎児水腫による流産あるいは死産等の発症に関与していることが明らかになってきた.これらの症状はしばしば定型的な伝染性紅斑の皮疹を伴わない上,aplastic crisis以外は小児よりも成人に高頻度に出現する.また他のウイルス性疾患と異なり,成人の抗体保有率は加齢とともに上昇し、成人の罹患頻度が高い.わが国の年度を隔てた流行においては,ゲノムタイプの異なるウイルスの流行が証明されており,最近10年間の宮城県下の流行動態の変化もこれと関係づけた理解が可能と思われる.
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