文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1991
II 皮膚疾患の病態
文献概要
1986年,Bruynzeel-Koomenらはアトピー性皮膚炎(AD)患者の表皮ランゲルハンス細胞(LC)にIgEの結合がみられることを報告したが,その後,いくつかの追試がなされ,その事実が確かめられている.筆者らも二重免疫蛍光抗体法を用いて,AD患者16例,他の瘙痒性皮膚疾患13例,健常者2例について検討したところ,表皮の全LCに占めるIgE陽性LCの比率はそれぞれ,48%,16%,0%であり,ADに有意にIgE陽性LCがみられた.血中の単球についても同様に検討したところ,ADに多数のIgE陽性単球が認められた.ADの単球を分離し,抗ヒトIgE抗体,抗FcεR抗体(H107)による刺激を加えたところ,IL−1の比較的著明な分泌がみられ,細胞表面上のIgEを介するmediatorの分泌があることが明らかになった.LCにおいても表皮より浸入したダニなどのアレルゲンとIgEが反応し,同様なmediatorの分泌が起こる可能性があると考えられた.
掲載誌情報