文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1991
III 新しい検査法と診断法
文献概要
チロシナーゼ陰性型白皮症の日本人患者に見いだされたチロシナーゼ遺伝子の二つの変異について,患者家族の遺伝子解析を行った.変異の一つはpoint mutationで,チロシナーゼ遺伝子のDNA塩基配列312番目の塩基グアニン(G)がアデニン(A)に置換したものである.この部位は正常遺伝子で制限酵素Hpa IIの認識部位であるが,患者遺伝子では制限酵素BstN Iの認識部位へと変わるので,この二つの酵素による制限酵素断片の鎖長多形の比較により,この変異の遺伝子診断が可能である.二つめの変異はitsertionmutationで,チロシナーゼ遺伝子のエクソン−2に一塩基つまりシトシン(C)の挿入があり,遺伝暗号のframe shiftを起こし,すぐにstop codonが出現するため,酵素蛋白の蛋白合成はエクソン−2で停止する.この変異部を認識する制限酵素がないので,変異前後の20個のヌクレオチドをプローベとして,dot blot hybridizationを行うことにより,この部位の変異についての遺伝子診断が可能である.
掲載誌情報