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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1991 III 新しい検査法と診断法
免疫ブロット法による自己免疫性水疱症の診断
著者: 橋本隆1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.115 - P.120
文献購入ページに移動 現在,蛍光抗体法を用いた検索により,種々の自己免疫性水疱症において各種の抗皮膚自己抗体の存在が明らかとなり,他方,その抗原物質の同定に関する研究も進んできた.免疫ブロット法を用いた検索により,水疱性類天疱瘡抗原は230kD蛋白と170kD蛋白の2種があり,そのうち170kD蛋白は妊娠性疱疹特異的であることが示された.また,尋常性天疱瘡抗原は130kD膜糖蛋白,落葉状天疱瘡抗原は160kD膜糖蛋白(デスモグレイン)であることが同定された.さらに,後天性表皮水疱症抗原は290kDのVII型コラーゲンの145kD C末端非コラーゲン部であることが明らかとなった.近年,線状IgA皮膚症およびIgA抗表皮細胞間抗体を有する症例についても,その抗原の検索が進められている.今後,免疫ブロット法を含めた抗原物質の検索は,自己免疫性水疱症の診断のみならず,正常表皮接着機構解明のためにも重要なものとなると思われる.
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