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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻5号

1991年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1991 IV 治療のトピックス

経口抗ウイルス剤

著者: 新村眞人1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.153 - P.157

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 ウイルスが誘導するチミジンキナーゼ(TK)は基質特異性が低く,宿主細胞のTKではリン酸化されないチミジン誘導体なども基質とすることができる.アシクロビル(ACV)はこの機序を利用したもので,薬剤の効果は,それがTKの基質としてどのくらいよくリン酸化されるか,3リン酸化体がウイルスのDNAポリメラーゼ活性をどの程度に阻害するかにより異なる.ACVに対するTK誘導能の高いHSVは低濃度でウイルス増殖が阻止されるが,TK誘導能の比較的低いVZVに対しては約10倍の薬剤濃度が必要である.ACVは腸管からの吸収率が低く200mgを1日5回経口投与した場合にはVZVに有効な血中濃度には達しない.したがって帯状疱疹を経口剤で治療する場合には大量を投与する必要がある.一方,最近わが国で開発されたBV-araUはHSV−2には無効であるがVZVに対してはin vitroではACVの1,000倍以上の効力を有し,腸管からの吸収率も高い.また,ACVに類似の構造をもち,ウイルス増殖抑制時間が長い前駆薬タイプの経口抗ウイルス剤famciclovirの開発も行われている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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