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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻8号

1991年07月発行

文献概要

今月の症例

Hailey-Hailey病の病巣内に有棘細胞癌とBowen癌が生じた1例

著者: 稲葉義方1 三原一郎1 谷岡栄2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室 2東京慈恵会医科大学第三病院皮膚科

ページ範囲:P.557 - P.560

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 Hailey-Hailey病(家族性良性慢性天疱瘡,以下H-H病と略す)を既往にもつ80歳男性の陰嚢部H-H病病巣内に,有棘細胞癌とBowen癌が生じた1例を報告した.有棘細胞癌は角化傾向が強く,巨大カリフラワー状外観を呈した.腫瘍浸潤は睾丸白膜にまで及び,リンパ節転移もみられstage Ⅲであった.また,有棘細胞癌と明らかに離れた部位に,Bowen病とその真皮内浸潤と思われる腫瘍塊がみられた.なお,組織学的に有棘細胞癌内にはH-H病に特徴的な棘融解像が観察された.H-H病の病巣内に悪性腫瘍が生じたとの報告は,われわれの調べた限りでは有棘細胞癌3例と基底細胞癌2例のみであり,稀な合併と思われた.また,これらの報告には自験例のような二重癌の合併例はなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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