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症例報告
指端壊疽を主訴とする全身性強皮症
著者: 安江隆1
所属機関: 1名古屋大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.569 - P.572
文献購入ページに移動 指端壊疽を主訴として来院し,皮膚生検所見,肺所見,臨床検査所見などから全身性強皮症(SS)と診断された2例を報告した.両症例共に皮膚硬化は軽微で,初診時までSSと診断されていなかった.いずれでも3年前よりレイノー現象が,また初診時には指尖の陥凹性瘢痕が認められた.1例では,1年前より乾性咳嗽があり,胸部X線検査とCT検査で肺線維症と診断され,皮膚生検でSSに一致する所見が示された.他の1例では,抗Scl−70抗体が陽性であった.ループス抗凝固因子,抗カルジオリピン抗体,BFPは両症例共に陰性であった.2例共に,線溶療法,抗凝固療法,リポPGE1注射の併用にて手指切断に至ることなく治癒した.レイノー現象と指端壊疽を示す患者をみたら,皮膚硬化が臨床的に明らかでなくてもまずSSを疑い,早期に診断して早期より適切な治療を行うことが必要と思われた.
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