icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻8号

1991年07月発行

文献概要

症例報告

Microsporum gypseumによる白癬の4例

著者: 篠田英和1 西本勝太郎2 本間喜蔵3

所属機関: 1篠田皮ふ科医院 2長崎市民病院皮膚科 3昭和会病院皮膚科

ページ範囲:P.611 - P.614

文献購入ページに移動
 Microsporum gypseumによる白癬の4例を報告した.症例1:59歳,女.左乳房に4×2cm〜1×1cmの環状紅斑が3個みられた.斑状小水疱型.症例2:9歳女.左足背に径2cmの中央部が苔癬化傾向を示す辺縁隆起性環状紅斑あり.いわゆる頑癬様.症例3:79歳男.右前腕伸側に径4cmの皮膚面より隆起する炎症の強い紅斑で周囲に膿疱を認める.副腎皮質ホルモン外用剤の使用歴があり,異型白癬型.症例4:61歳女.前頭部に外傷を受け同部に分泌物を伴う紅斑が出現し,2.5cmの紅斑性脱毛巣となる,ケルスス禿瘡.患者宅周囲の土壌よりhair-bait法で菌の検出を試みたが陰性.Microsporum gypseumはgeophilic dermatophytesの代表的菌種であり,生体からの免疫反応が強度に起こる結果,炎症の強い臨床症状を呈する.その結果,湿疹,皮膚炎と診断され,症例3のように異型白癬の発症が懸念される.このためにも,真菌検査などを含めた適切な診断と治療が必要であることを強調した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?