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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻8号

1991年07月発行

文献概要

症例報告

広範囲に皮疹を生じたMicrosporum canisによる体部白癬の1例—ヘアーブラシ法による検討を含めて

著者: 加藤卓朗1 西岡清1

所属機関: 1東京医科歯科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.617 - P.619

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 20歳,女性.自宅に7匹のネコを飼っていた.初診の2カ月前より両前腕に瘙痒性皮疹を生じ,ステロイド軟膏の外用で悪化した.初診時に顔面,頸部および両前腕に鱗屑を伴う浮腫性環状紅斑とそれに混在して丘疹ないし小結節を認める.鱗屑の直接鏡検で菌要素を認め,Microsporum(M.)canisを分離した.イトラコナゾール1日100mgを2週間内服後,直接鏡検で菌の陰性化を認めた.ヘアーブラシ法で本人および同居の母と姉の頭髪より多数のコロニーを検出した.しかし,母と姉は無治療で経過をみたところ,菌の陰性化は4週後に全員にみられ,頭部の発病はなかった.なお,ネコは7匹とも菌の検索を施行する以前に捨てられたため検索できなかった.また自験例のヘアーブラシ法の結果を当教室で経験したM.canis感染症の病巣のない頭髪からのヘアーブラシ法の菌の検索結果と比較した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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