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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻9号

1991年08月発行

文献概要

今月の症例

背部弾性線維腫について

著者: 柳川茂1 大隅正義1 関根紀一2 坂本充弘3

所属機関: 1埼玉県立がんセンター皮膚科 2埼玉県立がんセンター整形外科 3埼玉県立がんセンター中央検査部

ページ範囲:P.661 - P.666

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 背部弾性線維腫の2例を報告し,皮膚科分野であまり知られていないこの疾患についての概要を述べた.本症は肩甲骨下部に発生することが多い腫瘍状病変であり,エラスチン染色にて変性した弾性物質が多量に含まれることから命名されたもので,日本人,特に沖縄地方での症例が多い.膠原線維間に混在する弾性物質は,電顕的に正常の弾性線維によく似た形態の線維状物質と微細な線維が雲状塊様に集合した小球状物質とから成り,相互に融合して,光顕レベルでは小球状,数珠状,ムカデ線維状,平滑線維状の形態をとる.発生部位的特徴から機械的刺激による反応性増殖症と考えられているが,その出現機序は弾性線維の性質を知るうえで興味深いものがある.また,本症の地理的偏在性から,何らかの遺伝的環境的要因が関わっていることが示唆されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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