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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科45巻9号

1991年08月発行

文献概要

症例報告

シェーグレン症候群の環状紅斑を疑わせたスウィート症候群の1例

著者: 松本義也1 川部美智子1 宮川晴子1 安江隆2

所属機関: 1中部労災病院皮膚科 2名古屋大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.685 - P.688

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 18歳,女性.シェーグレン症候群(以下,SjSと略す)の環状紅斑に酷似した環状浸潤性紅斑が顔面,上肢に生じた.特に全身症状はなかったが眼の乾燥感を訴え,皮膚生検にて真皮の血管と汗腺周囲にリンパ球様細胞浸潤が認められ,SjSを疑い諸検査を行ったがSjSの所見は認められなかった.初診より4年後,上気道炎症状と高熱を伴って,顔面,上肢と前胸部に圧痛ある環状浸潤性紅斑が再び生じた.白血球増多,血沈値高度亢進,CRP強陽性で,皮疹発生より1週後の皮膚生検では真皮全層に斑状に多核白血球を主とした著明な細胞浸潤が認められた.諸症状がABPCとDDSに不応で,ベタメタゾン1日4mgの併用が著効し,本症例の環状紅斑はスウィート症候群によるものと考えられた.自験例のように,スウィート症候群では,組織像もSjSと矛盾しないことがあり,その診断には長期間の経過観察と,皮疹発生よりの時間を考慮した複数回の生検が必要のことがあると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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