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原著
皮下に生じた孤立性毛嚢上皮腫—皮下型の提唱
著者: 木村俊次1 小林都江1
所属機関: 1国家公務員等共済組合連合会立川病院皮膚科
ページ範囲:P.799 - P.803
文献購入ページに移動 皮下に生じた孤立性毛嚢上皮腫(STE)の2例を報告した.症例1:33歳女.左前腕の直径15mmの皮下腫瘤.症例2:68歳男.右眉毛部の直径17mmの皮下腫瘤.ともに上下と可動性良好で,真皮下層から皮下脂肪織にかけて存在し,容易に核出された.組織学的には被膜様のもので囲まれた境界明瞭な球状腫瘤で,基底細胞様細胞の胞巣状・索状・レース状増殖と周囲に豊富な線維性間質の形成をみる.角質嚢腫やsquamous eddy様構造も少なからずみられ,細胞が辺縁に柵状配列して毛芽様を呈する部分も存在する.表皮や毛嚢との連絡はない.STEには通常型の他に巨大型やdesmoplastic typeがあるが,今回第3の型として皮下型を提唱した.皮下型は臨床・組織学的に一定の特徴を有しており,trichoblastic fibromaやtrichogenictrichoblas—tomaを含んで,より多彩な組織所見を呈する一群のSTEといえる.また巨大型の一部のものは皮下型でもある.
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