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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻10号

1992年09月発行

文献概要

今月の症例

多数の結節性病変を生じた正脂血性黄色腫症

著者: 紀平知香1 山上温子1 谷口芳記1 清水正之1 中村保夫2

所属機関: 1三重大学医学部皮膚科学教室 2山田赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.809 - P.812

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 75歳,女性.60歳頃より顔面,前胸部,四肢伸側に多数の黄褐色結節が出現し,徐々に増大した.血縁者に同症はなく,基礎疾患もみられない.組織では,真皮内の膠原線維間にTouton型巨細胞を混じる多数の泡沫細胞を認めた.血清中のコレステロール,中性脂肪,コレスタノールは正常であったが,HDLコレステロール,アポ蛋白AIは軽度の低下がみられた.本症例における黄色腫の形成要因として,その分布様式から,慢性機械的刺激,日光暴露による毛細血管障害などが考えられた.また他の要因として,HDLコレステロール,アポ蛋白AIの低下も考えられたが,皮疹の主体である結節性黄色腫に加え,腱黄色腫および眼瞼黄色腫も存在したことから,上記因子だけでなく,未知の異常脂質が存在する可能性も考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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