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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻10号

1992年09月発行

文献概要

連載 皮膚病の現状と未来・5

PCR法とSouthern法(2)

著者: 川島真1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科

ページ範囲:P.821 - P.821

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 パリのパスツール研究所に留学していた当時は,Southern法全盛のころであり,未知のパピローマウイルスDNAを求めて日夜オートラのフィルムの現像に明け暮れていた.ある朝,皮膚癌の数十検体のうちのボーエン病1検体にウイルスDNAと思われるバンドが現れてきた.それが後に,皮膚癌から初めて検出された新しいタイプとして認識されたHPV34型であった.その日の感動は今でも鮮明である.私にあの感動を与えてくれたSouthern法にどれだけ感謝したことであろう.しかし,その後数百検体をSouthern法で解析したが陽性に出たのは数検体にすぎず,Southern法の検出感度に疑問を持つこともあった.Southern法に裏切られたのであろうか.
 その不遜な疑問に答えを与えてくれたのがPCR法である.PCR法は原理的には,Southern法の数百万倍の感度を有する.そこで,先に陰性に終わった検体をPCR法で再度解析したところ,1例も陽性となった検体はなかった.私はこの膨大なnegative dataに落胆するどころか,逆にSouthern法の偉大さにあらためて感激した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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