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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科46巻11号

1992年10月発行

雑誌目次

カラーアトラス

Sister Joseph's Noduleを認めた膵癌

著者: 稲葉義方 ,   野村中夫 ,   新村眞人

ページ範囲:P.874 - P.875

 患者 75歳,男
 主訴 臍部の腫瘤
 初診 昭和61年3月4日
 既往歴・家族歴 特別なものはない.
 現病歴 昭和60年8月頃より臍窩に自覚症状のない小丘疹が出現した.約6カ月後には臍部の腫瘤は易出血性の示指頭大となり,下腹部痛も出現したため当科を受診した.
 現症 臍窩に表面が顆粒状で一部痂皮を付着する茶褐色の腫瘤が存在し(図1),その直下に拇指頭大で弾性硬の腫瘤を触知した.左下腹部には圧痛を伴う鶏卵大の腫瘤を触知した.

原著

プロピオン酸デキサメタゾンの外用で皮疹の寛解をみた汎発性家族性良性慢性天疱瘡

著者: 須賀康 ,   池田斈学 ,   矢口均 ,   小川秀興

ページ範囲:P.877 - P.881

 59歳,女性.温泉による刺激,細菌感染およびゲンタマイシン軟膏等による増悪因子により皮疹が汎発化したと考えられる家族性良性慢性天疱瘡(Hailey-Hailey病,以下HHD)の1例を報告した.入院後,皮疹の増悪因子に対しての加療を行うだけではなく,両腋窩,鼠径部などになお現存せるHHDの難治性慢性病変に対し,二次感染に十分留意しつつ,very strong classのステロイドであるプロピオン酸デキサメタゾン(メサデルム®)クリームの外用療法を行った.その結果,局所の病変も含めたすべての皮疹が3週間後には完全に消退し,以後,約4年間にわたってほぼ寛解状態を保ち得ている.HHDは,その病態生理が十分に理解されていないため,確実な治療法は確立されていない.今回の我々の経験から,細菌,真菌感染などに対処しつつ,強力なステロイド外用剤を使用することにより,本症のコントロールは十分可能であると考えられたので報告した.

全身型金属アレルギー—食事制限の有効性について

著者: 足立厚子 ,   堀川達弥

ページ範囲:P.883 - P.889

 全身型金属アレルギーの2例を報告した.症例1は数十年来汎発性湿疹の診断を受けていた72歳男性.症例2は20年前よりアトピー性皮膚炎の診断を受けていた29歳女性.症例1はニッケル(Ni)およびヨード制限食にて,症例2はNiおよびクロム(Cr)制限食にて皮疹の著明な軽快を認めた.症例1では硫酸ニッケルおよびヨウ化カリウム負荷試験陽性であった.自験例では紅色丘疹が手掌・腋窩など汗をかきやすい部位に多く密集し,発汗にて増悪するという特徴的臨床像を呈し,病理組織像では真皮内汗管を中心とする密な単核細胞の浸潤を認めた.Niが汗器官で濃縮され排泄されるという体内動態を考え合わせると,全身型Niアレルギーにおける汗の重要性が示唆された.金属アレルゲンの制限食の指導を行い経過良好であったが,クロモグリク酸ナトリウムの併用にてより一層の効果を認めた.また金属キレート剤としてミノサイクリンを使用したところ有効であった.

今月の症例

外傷後に単発した扁平苔癬様皮疹—深在性エリテマトーデスと思われる1例

著者: 木村俊次 ,   田村啓彦

ページ範囲:P.891 - P.894

 44歳,男子.左下背部の3年前に外傷を受けた部位の一部に2年来湿潤を繰り返す皮疹が単発.臨床的に拇指頭大,類円形の紫紅色局面で,中心部萎縮性でやや陥凹し一部白色調,辺縁部やや隆起し褐色調を混じる.下床に高度の浸潤を触れる.組織学的に上層部は扁平苔癬に類似し,中・下層部は皮膚硬化と巣状細胞浸潤を呈してモルフェアに類似するが,弾力線維の減少・消失をみる.この他,皮下脂肪織炎,membranous lipodystrophy,石灰沈着も一部に認める.一般検査成績に著変なく,抗核抗体も陰性である.類症との鑑別を中心に自験例の位置づけを試みたところ,最終的に深在性エリテマトーデスが最も考えられた.臨床・組織所見とも興味ある症例と思われるので報告した.

皮膚筋炎に続発した皮膚限局性アミロイド症(汎発型)の1例

著者: 三谷恒雄 ,   成瀬矛 ,   野田涼子 ,   堀口裕治 ,   段野貴一郎 ,   今村貞夫 ,   尾崎元昭 ,   谷口信吉

ページ範囲:P.895 - P.899

 60歳,女性,胃切除術および皮膚筋炎の既往がある.皮膚筋炎の皮疹部に色素沈着と苔癬化局面が生じ拡大した.初診時,ほぼ全身の皮膚には黒褐色の苔癬化した丘疹がみられ,部分的には色素脱失を示した.組織学的に表皮の不規則な肥厚と過角化がみられ,真皮乳頭には好酸性で,均質無構造の塊状物質が多数みられた.この物質はダイロン染色に陽性に染まり,電顕的にもアミロイドと同定された.臨床検査上,全身性アミロイド症を疑わせる所見はみられなかった.経過中,肺炎を併発し死亡したが,剖検でも皮膚以外の臓器におけるアミロイド物質の沈着を認めなかった.皮膚筋炎に続発した特異な皮膚限局性アミロイド症と診断した.

連載 皮膚科医と写真撮影・5

顕微鏡写真の撮り方(つづき)

著者: 木村俊次

ページ範囲:P.899 - P.899

1)カラー・モノクロに共通の事項(つづき)
 ④焦点合わせ:まず撮影装置の接眼部の視野の中央附近にあるタテ・ヨコの2本の線がとも鮮明に2本にみえるように接眼部のネジを回して調整する.タテ・ヨコの一方しか合わない場合は,できるだけ両方が合う所にする.次に顕微鏡本体の微動ネジで標本の焦点を合わせるが,対物レンズが4〜1倍の低倍では焦点が合っているか否かがわかりにくいので,望遠鏡式のビューアーを装着し,まずタテ・ヨコの2本の線が鮮明に2本にみえるよう調整した上で標本の焦点を合わせる.
 ⑤撮影モード:自動撮影装置のASA感度を合わせ,フィルム特性補正と露出補正を行う.ASAは100のフィルムでよいが,蛍光撮影では400のほうが撮影時間を短縮できる,フィルム特性補正は撮影装置に一覧表記されているフィルム別の数字に合わせる.露出補正は通常の撮影では1,蛍光撮影では4にする.

症例報告

皮下硬結を伴った皮膚筋炎の1例

著者: 河原由恵 ,   星野佳子 ,   仲弥 ,   原田敬之 ,   西川武二

ページ範囲:P.901 - P.905

 皮下硬結を伴った,43歳,女性の皮膚筋炎の1例を報告した.重篤な筋症状に対して発症時より大量かつ長期のステロイド投与を受け,その減量後に皮下硬結が生じてきた経過から,ステロイド後脂肪織炎も疑われたが,病理組織所見および皮下硬結部に潰瘍形成をみたことより,皮膚筋炎に伴う脂肪織炎と考えた.生検組織中には,局所の虚血状態や酸性ムコ多糖の沈着がその成因に関与していると考えられている膜嚢胞性構造も認められた.また,皮下硬結に一致して潰瘍化を伴うリベドー様紅斑も認められたが,これらの皮膚症状には,微小血管の変化が関連しているものと推察された.

ナプロキセンによる薬疹と気胸を併発したSclerodermatomyositis

著者: 藤瀬有理子 ,   石井晴美 ,   佐々木哲雄 ,   中嶋弘

ページ範囲:P.907 - P.910

 56歳,男.初診,平成元年10月.昭和60年12月両手指のレイノー症状で発症.初診時全身にびまん性色素沈着と皮膚硬化,各所の潮紅と毛細血管拡張などが認められた.筋生検等によりsclerodermatomyositisと診断.食道病変と肺の線維症,小嚢胞あり.平成2年10月からプレドニゾロン20mg/日で加療中.平成3年1月から関節痛に対しナプロキセンを追加投与し,内服22日目から瘙痒性皮疹が出現し入院.全身にびまん性丘疹,紅斑が認められ,顔面では著明な腫脹のため開眼が困難で,両側頸部リンパ節腫脹も認められた.ナプロキセン1錠内服9時間後に皮疹の誘発が見られた.退院後の4月6日突然の呼吸困難が出現し,胸部X-P上,左肺の気胸が認められ再入院.持続吸引により左肺は改善した.全身性強皮症(PSS)患者においては薬疹と気胸の併発は比較的稀と思われるが,本例では炎症所見の著明なPSSであること,肺の線維症と小嚢胞を伴っていたことがそれぞれの発症に関与したものと推察した.

血漿交換療法が奏効した尋常性天疱瘡の1例

著者: 佐々木裕子 ,   竹原和美 ,   仲弥 ,   池田康夫 ,   西川武二

ページ範囲:P.911 - P.914

 50歳女性.感冒罹患を契機に尋常性天疱瘡が急速に悪化.大量のステロイド内服療法にも反応せず副作用も出現したため,血漿交換療法を併用したところ皮疹は軽快した.また,1回の血漿交換療法で失われるプレドニゾロン量を測定したところ1日投与量の約1%であった.このことから血漿交換療法はステロイド剤の投与量にはほとんど影響を及ぼさず施行可能であり,重症型の尋常性天疱瘡に試みられるべき治療法の一つと考えた.

ネフローゼ症候群に合併したEosinophilic Panniculitisの1例

著者: 谷田宗男 ,   蔵本陽子 ,   成田満義

ページ範囲:P.917 - P.920

 41歳男性.初診1988年9月.19年前より微小変化型ネフローゼ症候群の診断でプレドニンによる治療を受けていた.初診1カ月前より両大腿部に痒みを伴う浸潤性紅斑が出現し徐々に拡大した.末梢血で好酸球を16%認め,IgE値も高かった.皮疹部の組織は脂肪織を中心に密な好酸球の浸潤があり壊死性血管炎を伴っていた.プレドニン40mgの隔日投与でも皮疹の増大は抑えられなかった.また右鼠径リンパ節が腫脹し,その組織でも多数の好酸球の浸潤が認められた.蛋白尿は一時軽快傾向にあったが1989年6月より再出現,プレドニン40mg連日投与にしたが,急性心筋梗塞を起こし死亡した.剖検では肝腫大,心内血栓が認められた.本症例は近年報告されているeosinophilic panniculitisに一致するものと考え,木村病との異同,およびhypereosinophilic syndromeの概念につき若干の考察を加え,あわせて報告した.

魚鱗癬と精神遅滞がみられたステロイドスルファターゼ欠損症の1例

著者: 筒井清広 ,   広根孝衞

ページ範囲:P.921 - P.923

 2歳5カ月の男児で,魚鱗癬と精神遅滞がみられるステロイドスルファターゼ欠損症の1例を報告した.血清リポ蛋白電気泳動パターンから求めた低比重リポ蛋白の相対移動度は0.43,正常対照値との比は1.2であった.5歳時の精神年齢は2歳11カ月,知能指数は69であった.染色体分析(Gband染色法)でX染色体の短腕部における形態異常は認められなかった.

ナパジシル酸メブヒドロリンによる薬疹の1例

著者: 白井みどり ,   藤田優 ,   滝沢和彦

ページ範囲:P.925 - P.928

 抗ヒスタミン剤による薬疹は極めて稀である.今回ナパジシル酸メブヒドロリン(インシダール®)による薬疹を経験したのでここに報告し,合わせて文献的考察を行った.49歳,女.慢性蕁麻疹の治療のためインシダール®服用後全身に粟粒大の紅色丘疹が播種性に出現した.臨床検査にては白血球増多,リンパ球減少,CRP6+が認められた.組織学的には真皮の血管周囲性小円形細胞浸潤を主とし,軽度の海綿状態を認めた.貼布試験では5%および10%ナパジシル酸メブヒドロリン粉末ワセリン陽性であり,内服テストにてもインシダール®が陽性であったが,薬剤によるリンパ球刺激試験(DLST)は陰性であった.

エノキサシンによる薬疹の2例—ピリドンカルボン酸系抗菌剤間の交叉反応性の検討

著者: 黒沢伝枝 ,   池澤善郎

ページ範囲:P.929 - P.933

 エノキサシン(フルマーク®)による紅斑型薬疹の2例を報告した.症例1ではエノキサシン内服2週間目から,瘙痒を伴う紅色皮疹が全身に出現した.他のピリドンカルボン酸系抗菌剤による貼布試験,内服試験で7剤中4剤に交叉反応を認めた.症例2ではエノキサシン内服の3日目から,39℃台の発熱と全身の瘙痒性皮疹が出現した.内服試験ではオフロキサシン(タリビット®),ノルフロキサシン(バクシダール®)で誘発疹が出現した.今回我々が経験したエノキサシンによる紅斑型薬疹では,光線過敏症の場合と同様に,ピリドンカルボン酸基が発症の一端を担っているものと推察された.しかしナフチリジン系のエノキサシンとは異なるキノロン系のオフロキサシン,ノルフロキサシンと強い交叉反応性を示したことから,ナフチリジン環のフッ素によるハロゲン化も交叉反応に重要な役割を果たしているものと推察された.

Malignant Melanoma in situの1例

著者: 小口真司 ,   徳田安孝 ,   松本和彦 ,   池川修一 ,   斎田俊明

ページ範囲:P.937 - P.940

 37歳,女性の右前腕に生じたmalignant melanoma in situの1例を報告した.10歳頃右前腕伸側にほぼ米粒大の小黒色斑が生じているのに気づいた.20歳頃には径約5mmの楕円形状の黒色斑となった.顔面の接触性皮膚炎を主訴に当科を受診した際,初診医がこの黒色斑に気づき生検した.組織像では表皮基底層部を中心に異型メラノサイトの個別性増数が目立ち,一部では有棘層に及んでいた.腫瘍細胞の表皮内での胞巣形成は病巣右側半分には多数認められるが,左側半分では目立たず左右非対称性の組織構築を示していた.これらの細胞は,免疫組織化学的にS−100蛋白陽性で,抗メラノーマ単クローン抗体HMB−45でも陽性反応を示した.本症例は,その診断をmalignant melanoma in situとするか,dysplastic nevusとするかが問題になると思われる.この2つの疾患概念について検討を加え,本症例をmalignantmelanoma in situと診断する我々の根拠を示した.

マイボーム腺癌の1例

著者: 河内山明 ,   三好薫 ,   河村進 ,   津田邦義 ,   牟礼理加

ページ範囲:P.941 - P.944

 43歳,男性の左下眼瞼に生じたマイボーム腺癌の1例を報告した.初診9カ月前に左下眼瞼のマイボーム腺梗塞にて切開を受けたが1カ月後に同部に腫瘤が出現し,霰粒腫の診断で再び切開掻爬術を受けるも初診の約3週前に腫瘤が再発した.初診時,左下眼瞼外側寄りに淡紅色調で弾性硬の隆起性小腫瘤を認めた.全摘標本では本来瞼板の存在する部位に,空胞状で明るい細胞質と異型性の強い核を有す腫瘍細胞が充実性胞巣を形成しており,ズダンⅢ染色陽性の脂肪球を多数認めた.マイボーム腺癌は霰粒腫と鑑別し難く,不完全な処置,手術により再発や転移を起こしやすい.したがって中高年に見られる霰粒腫様の眼瞼腫瘤では本症を疑い,積極的な生検による早期診断が重要と考える.

32Pアイソトープ外面照射療法による血管腫治療部位に発生した基底細胞上皮腫の1例

著者: 田中智 ,   齋藤和哉 ,   山本美保 ,   飯田憲治 ,   板東真弓 ,   嵯峨賢次 ,   高橋誠 ,   松田三千雄

ページ範囲:P.947 - P.950

 32歳女性.32Pアイソトープ外面照射療法による血管腫治療部位に発生した基底細胞上皮腫(BCE)の1例を報告した.生下時よりある単純性血管腫に対し約27年前に放射線治療を受けた.3年前より同部に黒色腫瘤出現,増大したため受診.病理組織学的にsolid typeのBCEであった.現在までに,多数の放射線照射由来の皮膚悪性腫瘍の報告例があるが,その多くは扁平上皮癌(SCC)であった.また,調べ得た限りでは,32P療法由来の皮膚悪性腫瘍は3例の報告があるが,それらはすべてSCCであり,BCEの発生をみたのは自験例が初の症例といえる.同療法および自験例を含めたこれらの症例につき若干の検討を行った.

結腸癌を伴ったLinear Seborrheic Keratosisの1例

著者: 大西善博 ,   入江広弥 ,   松井良介 ,   柳原康章 ,   長村洋三

ページ範囲:P.951 - P.953

 85歳,女性に発症したlinear seborrheic keratosisの1例を報告した,患者は4年前に結腸癌を指摘され摘出術を受けた.同時期より腹部に線状のseborrheickaratosisが列序性に配列して急速に増加した.本症の本邦報告例は3例目であるが,結腸癌を伴った報告は自験例が第1例目である.腫瘍随伴性デルマドロームの一型として本症が認知されるには今後の症例の集績が必要であると思われる.

下肢に生じた尋常性狼瘡の1例

著者: 轟葉子 ,   金子健彦 ,   戸田淨 ,   薬丸一洋

ページ範囲:P.955 - P.957

 64歳,男性.右膝蓋部に生じた尋常性狼瘡.約35年前に右脛骨結核性骨髄炎で骨移植術の既往がある.15年前より,右膝に紅色皮疹が出現し,徐々に拡大した.5年前外傷を受けてからは,常に中心部から出血を認めていた.初診時,右膝蓋部に潰瘍を伴い周囲に赤色疣状丘疹が集簇する局面を認めた.組織学的にラングハンス型巨細胞を伴う類上皮細胞肉芽腫で,膿および組織片よりMycobacterium tuberculosis培養陽性.INAH,RFP,EBの三者併用療法で軽快した.最近9年間の尋常性狼瘡本邦報告例64例に自験例を加えて,若干の考察を加えた.

乳房単純疱疹の男性例

著者: 塩見祐子 ,   廣田さち子 ,   白井利彦

ページ範囲:P.959 - P.961

 37歳,男性.性的接触の3日後より両側乳房に小水疱を混じえる発赤,腫脹が出現し,乳房単純疱疹と診断した.乳房単純疱疹は女性において増加しているが,本邦で未だ男性例の報告はない.

治療

中波長紫外線(UVB)療法が奏効した職業性接触皮膚炎の1例

著者: 大石祐子 ,   花田勝美 ,   橋本功

ページ範囲:P.963 - P.965

 43歳,女性.美容師.約10年前より両手に激痒を伴う乾燥性紅斑出現し,長期間副腎皮質ステロイド外用療法主体の治療を続けていたが,難治であった.コールド1液による貼布試験は陽性であった,ステロイド外用からの離脱を目的として中波長紫外線(UVB)療法施行.2カ月後には自覚症状,皮疹の速やかな改善をみた.5カ月後の現在(UVB総照射量13J/cm2),ステロイド外用からの離脱が可能となり,UVB照射による維持療法のみで美容師の仕事が継続可能となった.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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