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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻11号

1992年10月発行

症例報告

エノキサシンによる薬疹の2例—ピリドンカルボン酸系抗菌剤間の交叉反応性の検討

著者: 黒沢伝枝1 池澤善郎2

所属機関: 1横浜市立港湾病院皮膚科 2横浜市立大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.929 - P.933

文献概要

 エノキサシン(フルマーク®)による紅斑型薬疹の2例を報告した.症例1ではエノキサシン内服2週間目から,瘙痒を伴う紅色皮疹が全身に出現した.他のピリドンカルボン酸系抗菌剤による貼布試験,内服試験で7剤中4剤に交叉反応を認めた.症例2ではエノキサシン内服の3日目から,39℃台の発熱と全身の瘙痒性皮疹が出現した.内服試験ではオフロキサシン(タリビット®),ノルフロキサシン(バクシダール®)で誘発疹が出現した.今回我々が経験したエノキサシンによる紅斑型薬疹では,光線過敏症の場合と同様に,ピリドンカルボン酸基が発症の一端を担っているものと推察された.しかしナフチリジン系のエノキサシンとは異なるキノロン系のオフロキサシン,ノルフロキサシンと強い交叉反応性を示したことから,ナフチリジン環のフッ素によるハロゲン化も交叉反応に重要な役割を果たしているものと推察された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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