原著
糖尿病に合併したClear Cell SyringomaとScieredema
著者:
後藤田浩三1
河内山明1
三好薫1
所属機関:
1川崎医科大学附属川崎病院皮膚科
ページ範囲:P.1081 - P.1085
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46歳,女性.Clear cell syringomaとscleredemaを合併した糖尿病の1例を報告した.20歳頃より両眼周囲に1〜3mm大の常色の小丘疹を認め,この数年間多発傾向にあった.また1年前より項部,上背部,上腕部に比較的境界明瞭な板状硬結局面が出現し,上背部の着甲感を主訴に来院した.眼角部の丘疹の組織像は,真皮内にclear cellから成る胞巣が散在しその胞体内にPAS陽性,ジアスターゼにて完全消化される分泌物を認めた.上背部の組織像は,真皮上中層の膠原線維の膨化および真皮中下層の膠原線維の離開,断裂を認め離開,断裂した膠原線維間は,アルシアン・ブルー染色pH2.6およびコロイド鉄染色で青染しトルイジン・ブルー染色で異染性を示した.また,糖負荷試験は糖尿病型を示した.糖尿病にclear cell syringomaとscleredemaを合併した報告例はなく極めて稀な症例と考えられた.また,ビタミンE内服がscleredemaに対し有効と考えられた.