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原著
眼皮膚型白皮症に発生した悪性黒色腫
著者: 稲葉義方1 三原一郎1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.129 - P.135
文献購入ページに移動 眼皮膚型白皮症の45歳女性の上背部に悪性黒色腫が生じ,全身への転移にて死亡した1例を報告した.自験例の眼皮膚型白皮症はチロシナーゼ陽性型であり,悪性黒色腫の原発巣と思われた背部の巨大有茎性腫瘤および下顎部の転移巣はamelanoticであった.上腕内側と頭蓋内には黒色の転移巣を認めたが,組織学的にはamelanoticな腫瘤においても一部の腫瘍細胞にはメラニン顆粒が存在した.なお,スタンプ蛍光法,S−100蛋白染色およびDOPA染色などで腫瘍細胞は陽性所見を示した.さらに躯幹と四肢には淡黄赤色の母斑細胞母斑を数多く認め,それらの中にはdysplastic nevusが含まれていた.なお,眼皮膚型白皮症に悪性黒色腫が生じたとの報告は我々の調べた限りでは21例のみであり,稀な合併と思われた.
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