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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻3号

1992年03月発行

症例報告

新生児エリテマトーデスの1例—抗SS-A/SS-B抗体の解析

著者: 石川治1 野口幹正1 石川英一1

所属機関: 1群馬大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.249 - P.253

文献概要

 新生児エリテマトーデスの男児例を経験した.紅斑は生後2週頃より環状紅斑が頭部に出現し,漸次躯幹に波及した.血清学的に抗SS-A抗体および抗SS-B抗体陽性.組織学的には軽度の液状変性と毛包周囲の単核球浸潤を認めた.無治療にて経過観察したところ,生後5カ月までに皮疹は痕跡を残さず消褪した.房室ブロック,肝障害,血小板減少は認められなかったが,巨大結腸症(Hirschusprung病)を合併した.一方,母親には膠原病を疑わせる臨床症状は認めなかったが,抗SS-A抗体および抗SS-B抗体陽性,高ガンマグロブリン血症,リウマチ因子陽性,涙液および唾液分泌の軽度低下,乾燥性角膜びらん,耳下腺造影の異常所見からsubclinical Sjögrensyndromeと診断した.最近,分子:量52kDのSS-A抗原および48 kDのSS-B抗原とに反応する抗体を有する母親は,新生児エリテマトーデス児を出産する危険率が高いとする記載がある.我々も患児母親血清について,イムノブロット法でMOLT 4細胞由来蛋白との反応を検討した結果,血清抗体は60 kD,52 kD蛋白(推定抗SS-A抗体),42 kD蛋白(推定抗SS-B抗体)とそれぞれ反応した.今後妊婦の抗SS-A/SS-B抗体の分析が新生児エリテマトーデスの発症予測と関連してなされる必要があるかもしれない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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