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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻3号

1992年03月発行

症例報告

イトラコナゾール内服が奏効したTrichophyton tonsuransによるBlack Dot Ringworm—本邦におけるTrichophyton tonsurans白癬18例の文献的総括

著者: 佐藤俊樹1 高橋伸也1 村井博宣1 真家興隆1

所属機関: 1秋田大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.287 - P.292

文献概要

 Trichophyton tonsuransによる白癬の東北地方第1例を報告した.症例は65歳女,秋田県男鹿市在住.肝膿瘍および慢性肺炎にて某院内科入院中,頭部の皮疹に対して膿痂疹性湿疹の診断でステロイド軟膏2カ月間外用で改善せず,当科に紹介された.現症:頭皮の約3分の2に紅斑を伴うびまん性脱毛,顔面に落屑性紅斑をみる.病毛は毛孔部で断切・捲縮し,black dot ringwormを呈す.菌は毛内性大胞子性寄生を示した.毛および落屑のサブローブドウ糖寒天培地培養にてビロード状,表面白色〜橙黄色,裏面黄褐色の集落が得られ,菌学的検査にてT.tonsuransと同定した.治療はイトラコナゾール(ITZ)を1日1回100mg連日服用した.10週で皮疹は略治,菌陰性化したため投与を終了した.副作用を認めず1年間の追跡で再発を認めない.本菌の特徴および本邦報告例を検討し,自験例の感染経路につき考察するとともに,本症に対するITZの有用性を述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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