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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻4号

1992年04月発行

文献概要

今月の症例

妊娠後期にみられた紅斑を伴った色素沈着(色素分界線条)の2例

著者: 小澤宏明1 六郷正和1 阿部雪江2

所属機関: 1いわき市立総合磐城共立病院皮膚科 2いわき市立総合磐城共立病院産婦人科

ページ範囲:P.337 - P.339

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 共に経過順調な妊娠8カ月の妊婦に出現した下肢屈側の左右対称,境界明瞭な紅斑を伴う淡褐色の色素斑,すなわち,妊娠に伴った色素分界線条2例を経験した.症例1は大腿から膝窩にかけて,症例2は,大腿から下腿にかけての屈側全体に皮疹が分布していた.分娩後,紅斑は速やかに消褪し,色素沈着は残るが,それも次第に消褪傾向を示した.色素斑はこれまで報告された妊娠に伴う色素分界線条のように自験例でも下肢に現れ,しかも,皮神経の支配領域に一致していた.以上より,妊娠に伴う単なる下肢の循環不全や,生理的な色素増強でなく,ある程度選択的な神経圧迫などの影響があって出現したものと考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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