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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1992
II 皮膚疾患の病態
文献概要
かつて乾癬は表皮の代謝異常による増殖の亢進と分化不全を主体とした疾患と捉えられていた.過去約20年の間に免疫学は急速な進歩を示した.それと轍をともにするように乾癬において免疫の関与が明らかとなり,いまや“遺伝的な特異的反応性が環境要因に反応し生じる免疫遺伝病としての皮膚炎”という地歩が固まりつつある.免疫の関与はそれぞれの時代の流れを反映し,はじめは蛍光抗体法による免疫グロブリンや補体の病変部角層の沈着の証明に基づく液性自己免疫の考えが主流をなした.その後,細胞性免疫学の発展とともに,CD4陽性T細胞,とくにその放出するリンホカインと皮膚構成細胞の放出するサイトカインの役割が重視され,現在は治療面においても,サイクロスポリン,TNF—α,抗CD4モノクロナル抗体による劇的な効果が確認された.皮疹は細胞性免疫の調節機構の異常で生じる炎症をもとに,表皮由来のIL−8や補体活性化の影響が加わり,発症すると解釈されうる.
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