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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻5号

1992年04月発行

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1992

III 新しい検査法と診断法

皮表および角層間脂質の測定法—アトピー性皮膚炎の乾燥皮膚の脂質分析を中心に

著者: 山本綾子1 冨樫きょう子1 芹澤重男1 伊藤雅章1

所属機関: 1新潟大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.117 - P.120

文献概要

 アトピー性皮膚炎(AD)患者の乾燥皮膚における脂質代謝異常の可能性を検討するために,乾燥皮膚を呈する15〜25歳のAD患者10名と14〜26歳の健常人11名を対象に,前腕伸側皮膚より皮表および角層間脂質をカップ法により採取した.抽出溶媒は比較検討の結果,ヘキサン:メタノール(2:3)が最も優れていたのでこれを用いた.採取した脂質はマイクロ天秤で重量を測定し,high-performance thin-layer chromato—graphy(HPTLC)で分析した.総脂質量および各脂質成分について比較検討した結果,AD患者ではセラミド1のみが健常人に比較して有意に減少していた.セラミド1にエステル結合する脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーにより検討したところ,オレイン酸の有意の増加があった.この結果から,ADでは健常人と異なったセラミドの構造を有し,このため角層間の脂質多層構造が損なわれて,保水機能の低下をきたすと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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