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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻8号

1992年07月発行

文献概要

症例報告

Balloon Cell Nevusの1例

著者: 飯塚万利子1 中山佳代子1 平井昭男1 北村啓次郎1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.661 - P.664

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 22歳,女性.初診の2カ月前より左鼻翼に自覚症状を欠く紅色丘疹が出現し,徐々に拡大.切除時径4mm,高さ2mmの弾性硬,ドーム状に隆起した類円形赤褐色調丘疹を認め,表面には痂皮を付着し,基部に毛細血管拡張をみた.組織学的には,突出し表皮襟にはさまれた真皮内腫瘍であり,胞体の明るい大小不同,類円形の空胞細胞から構成され,その胞体はS−100蛋白染色でα鎖が陽性であったことからbal—loon cell nevusと診断した.本邦報告例では増殖細胞の大部分がballoon cellよりなるとするものが多かったが,これが特徴であると断定はできなかった.自験例ではS—100蛋白染色でα鎖のみが陽性であった.Balloon cell nevusにおけるα鎖とβ鎖の分布の違いについては報告例がなく,その意味するところは未だ不明であるが,bal—loon cellの性格を示唆する所見として,興味深いものと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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