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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科46巻8号

1992年07月発行

文献概要

症例報告

大量消化管出血をきたした重傷熱傷の1例

著者: 工藤昌一郎1 前川嘉洋2 林原利朗3

所属機関: 1熊本労災病院皮膚科 2国立熊本病院皮膚科 3八代総合病院

ページ範囲:P.673 - P.676

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 55歳,男性.酔って着衣のまま浴槽に転落し,全身に56%のII-III度熱傷を負った.Baxter法にて輸液療法を行ったが高血糖および血液濃縮が著しく,入院24時間後に左大腿動脈血栓症をきたし,血栓除去術を施行した.その後,インシュリンを使ったが,血糖のコントロールが困難で,高熱が持続し,肺炎や敗血症を併発した.さらに,受傷後14日目に大量の下血を起こし,16時間で約4000mlの出血をみた.直腸鏡等では出血部位を確認できなかったため,右大腿動脈よりセルジンガー法にてカテーテルを挿入し,腹腔動脈,上腸間膜動脈および下腸間膜動脈の造影を行った.その結果,上腸間膜動脈の分枝に造影剤の噴出像がみられ,出血部位は回腸領域と判定された.直ちに,開腹して出血部位を含む回腸切除術を施行した.その後,全身状態の改善に努め,植皮術を繰り返して行い,救命し,退院させることができた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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