臨床皮膚科46巻9号

1992年08月発行

症例報告

先天性下腿皮膚皮下組織形成不全（仮称）の1例

著者： 荒山由香¹ 丸山優¹ 岩平佳子¹ 露木重明² 工藤玄恵³

所属機関： ¹東邦大学医学部形成外科学教室 ²東邦大学医学部皮膚科学教室 ³東邦大学医学部病理学教室

ページ範囲：P.733 - P.736

文献概要

　Focal dermal hypoplasia（FDH）に類似した稀な疾患を経験したので報告した．症例は3歳女児で，生下時より左下腿後面の真皮の菲薄，皮下脂肪組織の欠如と，踵部の過誤腫様腫瘤を認めた．発現部位，臨床経過等FDHの皮膚限局型と類似したが，内眼的および組織学的に，脂肪組織の増多を本態とするFDHの特徴的所見は認められなかった．本症の発生機転よりdysplasia，胎児外傷などの可能性について考察を加えた．