文献詳細
症例報告
文献概要
Spindle cell lipomaは脂肪腫の一亜型で,中年以降の男性の項部,肩,背部の皮下に単発性に好発し,組織学的に,成熟脂肪細胞と紡錘形細胞が混在し,膠原線維の増生と粘液基質を伴う像を特徴とする.自験例は,54歳女性で,左前腕と右大腿の2カ所に生じ,臨床的には非典型例であった.組織学的には,腫瘍は真皮内に境界明瞭に存在し,粘液様基質の中に脂肪細胞,紡錘形細胞,膠原線維束が混在しており,典型的なspindle cell lipomaの組織像であった.免疫組織染色にて,spindle cellはvimentin陽性,脂肪細胞はS−100蛋白陽性,基質はalcian blue,colloid iron陽性で,hyaluronidaseに消化され,toluidine blueでメタクロマジーを示した.電顕所見では,spindle cellは基底膜はなく,胞体に乏しく,多数の粗面小胞体を持ち,大小の陥凹を有する核を持つといった特徴を備えていた.
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