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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻10号

1993年09月発行

文献概要

今月の症例

汎発性先天性皮膚カンジダ症を合併した角化異常症の1例

著者: 奥田長三郎13 藤原浩1 伊藤雅章1 小川淳2

所属機関: 1新潟大学医学部皮膚科学教室 2新潟大学医学部小児科学教室 3済生会三条病院皮膚科

ページ範囲:P.847 - P.851

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 1カ月,女児.出生時に羊水混濁あり.生下時から全身皮膚に高度の角質増殖あり.水疱,膿疱なし.組織学的に角層の著明な増生を伴う表皮肥厚をみるが,顆粒変性なし.角層に無数の真菌要素をみる.真皮上層に単核細胞が密に浸潤し,その多くはT細胞でHLA-DRを発現する.表皮直下で毛細血管が増生,拡張.ケラチン染色で,BKN−1は陰性,HKN−2と4は正常に染まる.電顕的に,ケラチノサイトは少量の張原線維と発達不良のデスモゾームを有し,脂質滴を基底層から含有する.層板顆粒の産生なし.ところどころで変性した浸潤細胞をみる.角質片からCandida al—bicans Aを分離.抗真菌剤と亜鉛華軟膏を外用し,角質は急速に剥離して糜爛となったが,上皮化とともに再び角質が肥厚し,全身状態不良で生後2カ月半で死亡.胸腺の低形成あり.先天性皮膚カンジダ症の範疇に含まれるが,基礎疾患として一種の角化異常症が存在すると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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